オリーブオイルソムリエ　横川まどかさん

「最初は、”オリーブオイルソムリエ” にあまり興味がなかったんです…」と、横川さん。実は、横川さんのように、”ソムリエ”という言葉は、どうしてもワインソムリエをまずは思い浮かべがちで、テイスティングをして地域や品種を繰り返し覚えていく、そこまでの資格は私には必要ない、と思われる方はとても多いんです。しかし、ソムリエは、それだけではありません。オリーブオイルには、それよりも前に「欠陥のあるもの」が存在していて、オリーブオイルを知るファーストステップは欠陥のないオリーブオイルを選ぶことなんです。

イタリア料理教室を主宰していらっしゃる横川さんは、オリーブオイルを使う機会は多かったそうですが、「上質なものを使い、きちんと保存をする」ということを心がけてはいたけれど、「ソムリエ」になる必要性を感じていなかったとのこと。しかし、あるオリーブオイル講座に参加してみてその考えが一転。講座で、用意されていた数種類のオリーブオイル。産地の違うものを比較するテイスティングか、と予想していた横川さんですが、実は品質のいいオリーブオイルと、欠陥のオリーブオイルを見極める、という目的で並べられていたものだったとか。そんな講座をうけてみて、短時間のうちにすっかりオリーブオイルへの見方や考え方が変わってしまったそうです。

中でもやはりショックを受けたのは「欠陥オイル」の存在。自分の保存の仕方が悪いことが理由で、品質が劣化してしまうことはあっても、まさかお店で購入する時点ですでに欠陥を持っているオリーブオイルが多く存在する、ということに驚かれたそうです。そして、「料理を提供するものとして、料理との組み合わせの以前に、正しいオリーブオイルを選んでいく力ないことは、恥ずかしい。正しいオリーブイルを見極める力を身につけ、まずは料理教室にいらして下さる生徒さんに伝えたい」と、オリーブオイルソムリエコース受講に踏み切りました。

ソムリエコースは、１週間のカリキュラムで試験合格を目指すので、予想以上に厳しいもの。更に、横川さんは、77歳のお母様と一緒にご参加。海外で、毎日朝からレッスンをうけ、勉強をするだけでも結構大変なのですが、同時にお母様のケアをしながらの毎日は、よりハードなものだったと思います。

授業が終わると、お母様が授業で理解できなかった内容をお二人で共に復習するというスタイルをとり、結果的には、ご自身の復習にもなり「思い切って母と一緒に受講してよかった」と振り返っていらっしゃいます。

オリーブオイルは通常料理で使うもの、数多くのオリーブオイルをテイスティングするのは、普段なかなかないことで、最初は慣れない方も多いのです。横川さんの場合も最初はそうでしたが、日を追うごとに、欠陥オイルは香りである程度判断がつくようになり、テイスティングをする６種類のオリーブオイルが並ぶと、緊張感と同時に、”どんなオリーブオイルに出会えるのか”、というワクワク感から、テイスティングを楽しむ事ができる様になっていったそうです。

そんなコースを乗り切って、横川まどかさん、そしてお母様の横川てるよさん、お二人とも見事に優秀な成績で合格。夏の暑い時期のソムリエコースは、屋外での授業など体力的にもハードな内容も多い中、最後までしっかりと受講していただき見事合格された横川てるよさんには、AISO JAPAN より名誉ソムリエの称号を授与させていただきました。歳を重ねても挑戦をつづけられる姿に、同期の皆さん、そして我々運営スタッフ一同もとても勇気づけられました。その影で支えていらっしゃった横川まどかさんにも、スタッフ一同より、改めて拍手をお送らせていただきます。

ソムリエ資格の取得後、「同じオイルは二つとしてなく、毎回新しい出会いと驚き」そんな気持ちで、オリーブオイルをテイスティングするようになり、レストランなどでも、ついつい香りをすぐに確かめてしまう様になったそうです。

「小豆島を訪ね、日本の生産者の方々や、生産にかける思いに触れ、これから日本でのオリーブ栽培、オリーブオイルの展望にもとても期待しています。」国産オリーブオイルはまだまだ高価ですが、より生産が増えて、より身近に手に取る事ができるようになるといいですね。

今は、ソムリエ資格を取る前のご意思通り、ご自身の料理教室で、できる限りの情報や知識を伝えるように心がけたり、食事会などで機会があるたびにオリーブオイルについて話をしたり、と身近なところでオリーブオイルに携わっていらっしゃいます。

「ソムリエの資格は頂きましたが、まだまだテイスティング力も伝える力も弱いので、ブラッシュアップをしながら、コツコツとオリーブオイルの伝道者になれれば」と締めくくっていただきました。